車椅子対応のドア選び|開き戸の工夫や最適なドア幅、改修方法を解説
車椅子で生活されている方やそのご家族にとって、ドアの開閉や通行のしやすさは、日常生活の中で大きな課題となりがちです。
「開き戸を車椅子で開ける際に手が届きにくい」「狭いドア幅のためにスムーズに通れない」など、生活の快適さや安全性が損なわれることがあります。
今回は、車椅子利用者が安心して暮らせる住まいづくりをサポートするため、首都圏で玄関・窓のリフォームを手がける株式会社MAC(マック)が、車椅子に適した「ドアの種類」や「ドア幅」について詳しく解説します。
このコラムのポイント |
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Contents
車椅子に適したドアの種類と特徴
車椅子での生活や移動を考える際には、ドアの種類や使い勝手が重要です。
ドアの開閉がしやすいか、またスムーズに通行できるかによって、日常生活の快適さや安全性は大きく変わります。
ここでは、代表的な「開き戸」と「引き戸」について、それぞれの特徴と、車椅子利用時のポイントを解説します。
開き戸のメリット・デメリット
開き戸は、一般住宅や施設で最も多く使われているドアです。
メリット | デメリット |
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・構造がシンプルで設置しやすい ・既存ドアの改修が簡単 ・気密性が高い ・デザインや材質が豊富 |
・開閉時の動作が大変な場合がある ・ハンドルの位置が遠い場合がある ・扉の開く向き(内開き・外開き)による影響がある ・ドアの素材によっては重たいものもある |
車椅子で使いやすい開き戸を選ぶ際、扉の開く向き(内開き・外開き)を考慮することが大切です。
- 内開き: ドアが室内側に開くため、車椅子で室内にいる場合は開きにくくなります。特に、狭い部屋ではドアが障害になることが多いです。
- 外開き: ドアが室外に開くため、車椅子で室内にいても開閉がしやすくなります。ただし、廊下や通路にドアが飛び出す点には注意が必要です。
開き戸を採用する場合は、可能であれば「外開き」を選ぶことで、車椅子利用時の利便性が向上します。
また、レバーハンドルを採用することで、開閉がしやすくなり、車椅子でも片手で操作しやすくなります。
引き戸(スライドドア)のメリット・デメリット
引き戸(スライドドア)は、ドアが横にスライドして開閉するため、車椅子利用者にとって使いやすいドアのひとつです。
メリットとデメリットは、以下のとおりです。
メリット | デメリット |
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・開閉動作が簡単 ・通行スペースを確保しやすい ・狭い場所でも設置しやすい ・自動開閉装置の取り付けが可能 |
・設置コストが高い場合がある ・開き戸と比べて気密性が低いことがある ・定期的なメンテナンスが必要 |
玄関ドアを引き戸に変更したい方は、こちらの記事も参考にしてください。
<関連ページ>玄関ドアを引き戸に変更するメリットと注意点|種類・メーカー別特徴・選び方も解説
車椅子に適しているのは「開き戸」か「引き戸」か
車椅子での生活には「引き戸」のほうが使いやすく、快適です。
しかし、構造上の制約から開き戸を選ぶ場合でも、工夫次第で利便性を向上させることは十分可能です。
以下の工夫を取り入れることで、車椅子でも使いやすくなります。
- ドアクローザーやストッパーの設置:ドアが急に閉まらないようにすることで安全性を確保し、車椅子利用者の負担を軽減します。
- レバーハンドルや引き手の設置:手が届きやすい位置に取り付け、軽い力でドアを開閉できるようにします。
- 軽量化された開き戸の採用:重い扉は車椅子から開ける際に負担となるため、軽量な材質を選ぶことで操作が容易になります。
リフォームの際には、生活スタイルに合わせて、最適なドアを選びましょう。
首都圏で車椅子利用者向けのドアリフォームをお考えなら、株式会社MAC(マック)にご相談ください。
現状の住まいやご要望に合わせた最適な提案をいたします。
車椅子が通れるドア幅とは|適切なサイズと基準
車椅子で日常的に通行するためには、ドア幅が十分に確保されていることが重要です。
ここでは、車椅子に必要なドア幅や法的な基準について詳しく解説します。
最低限必要なドア幅と推奨されるサイズ
車椅子には「手動タイプ」と「電動タイプ」があり、それぞれの幅に合わせてドアの有効幅(実際に通行可能な幅)を確保する必要があります。
一般的な車椅子の幅は、JIS規格で決まっています。
- 手動車椅子:幅630mm以下
- 電動車椅子:幅700mm以下
これに加えて、通行時に余裕を持たせるため、ドア幅は最低75cm〜90cmが理想的です。
ドア幅に関する建築基準法とバリアフリー法
車椅子での快適な移動を実現するためには、法的な基準も考慮する必要があります。
「建築基準法」と「バリアフリー法」におけるドア幅の規定について解説します。
【建築基準法】
建築基準法では、一般的な住宅のドア幅について明確な数値は定められていません。
しかし、安全で快適な生活を確保するため、リフォームや新築時には車椅子の通行を想定した幅を確保することが推奨されています。
【バリアフリー法】
バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)では、公共施設や特定建築物に対し、以下の基準が設けられています。
- 玄関・出入り口:80cm以上の幅を確保
- 廊下や室内ドア:75~80cm以上が標準
- トイレ・浴室の出入り口:85cm以上が望ましい
<参照>国土交通省:建築物におけるバリアフリーについて「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」
車椅子利用者にとって、ドア幅は生活の快適さを左右する重要な要素です。
リフォームの際は、法的基準を参考にしつつ、実際の車椅子のサイズや生活環境に合わせて、余裕のあるドア幅を確保することをおすすめします。
首都圏で車椅子対応の玄関ドアリフォームを検討中の方は、株式会社MAC(マック)へお問い合わせください。
お客様のご希望に合わせた最適な提案を行い、安全で快適な住まいづくりをサポートいたします。
既存のドアを車椅子対応にするリフォームの方法
既存のドアを車椅子対応にするには、ドア幅の拡張やドアの種類の変更といったリフォームが必要になることがあります。
具体的な工事内容や費用、リフォーム時の注意点について詳しく解説します。
ドアリフォーム時の工法は3種類
ドアリフォームには主に3つの工法があり、それぞれに特徴があります。
- カバー工法:既存のドア枠に新しい枠をかぶせ、新しいドアを取り付けます。工期とコストを抑えられますが、開口部がやや狭くなる可能性があります。
- はつり工法:ドアと枠を完全に取り替える方法です。自由度が最も高いですが、大規模な工事となるため、費用が高くなります。
- 玄関ドアのみ交換:既存の枠を残し、ドアだけを新しいものに交換します。工事が比較的簡単で外壁を傷つけずに済みますが、ドアのサイズ選択には制限があります
玄関ドアをリフォームする工法の詳細については、こちらの記事で確認できます。
〈関連ページ〉【玄関ドアのリフォーム】カバー工法とは?|費用の目安、メリット・デメリット、その他の工法も紹介
ドアリフォームの相場
ドアリフォームの費用は、ドアの種類や工法によって大きく異なります。
- ドア交換のみ:比較的安価で、20万円前後から可能です。
- カバー工法:中程度の費用で、30万円〜50万円程度です。
- はつり工法:最も高額で、50万円以上かかることが多いです。
ただし、これらは一般的な相場であり、具体的な状況や要望によって費用は変動します。
開き戸から引き戸へ変更するリフォーム
開き戸から引き戸への変更は、以下の手順で行います。
開き戸から引き戸への手順 |
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1. 既存の開き戸と枠の撤去 ↓ 2. 開口部の調整(必要に応じて) ↓ 3. 引き戸用のレールを設置 ↓ 4. 引き戸の取り付け |
費用は、ドアの種類や材質、工事の複雑さによって変わりますが、一般的に50万円〜100万円程度かかることが多いです。
開き戸を引き戸に変更することで、車椅子利用者の自立した生活をサポートし、介護者の負担も軽減にもつながります。
首都圏で玄関ドアのリフォームを検討中の方は、株式会社MAC(マック)へお問い合わせください。
ご予算やご要望を伺い、丁寧に対応いたします。
車椅子対応のドアリフォームで活用できる補助金・助成金制度
車椅子対応のドアリフォームを行う際に活用できる補助金や助成金制度がいくつかあります。
- 介護保険の住宅改修費助成制度:要介護認定を受けた方が対象
- 子育てグリーン住宅支援事業:開口部(玄関・窓など)の断熱リフォームが対象
- 長期優良住宅化リフォーム推進事業:バリアフリー改修を含む総合的な住宅の性能向上が対象
- 既存住宅における断熱リフォーム支援事業:登録製品の断熱材や窓を使用したリフォームと、玄関ドアのリフォームを対象
- 各自治体の補助金・助成金
これらの補助金・助成金制度は、地域や条件によって異なる場合があります。
詳細な情報や最新の適用条件については、各制度の公式ウェブサイトや担当窓口でご確認ください。
詳しい補助金内容や申請方法などは、こちらで確認できます。
<関連ページ>【2024−2025最新】玄関引き戸のリフォーム補助金を申請する方法|いくら、いつまでなど解説
まとめ
車椅子利用者のために、「開き戸」と「引き戸」の特徴を比較し、通行しやすいドア幅の法的基準や推奨サイズについて解説しました。
リフォーム方法にはカバー工法やはつり工法があり、それぞれの特性を理解することが大切です。
また、補助金や助成金制度を活用することで、経済的な負担を軽減できるため、リフォームを検討中の方は、経済的な負担を抑えることができるため、ぜひ活用してください。